工藤アイスのBilogへ>

　その情報は、女王様から突然に伝えられた。冷凍ソフトを知っているかと言う問いかけが
B食クラバーに届けられたのだ。一瞬、冷凍ソフトって別にフツーの食べ物だよね、とか思っ
てしまったのだが、よくよく考えてみると、B食クラバーの頭の中に浮かんでいるのは、冷凍
ソフトでは無くて冷凍アイスだと言うコトに気が付いた。

　アイスならば冷凍は当たり前だが、ソフトは違う。ソフトは冷凍していなく、だからこそ柔ら
かくて、冷凍してカチカチになっているアイスとの違いはソコにある。あの柔らかさとマッタリ
感は、通常のアイスでは味わうコトが出来ない。家庭の冷凍庫で気軽に保存でき、イツでも
食べるコトが出来るアイスも良いが、ソフトはそう言うワケには行かない。

　家庭では食べるコトが出来ないから、ドコカに出掛けた時に美味しそうだったり、珍しそう
なソフトがあったりすると、必ず食べたくなる。ソフトクリームとはそう言うモノであると、B食ク
ラバーはずっと思っていた。

　更にユカイさんから、放り投げれば潰れないで、転がりそうなソフトであるとの報告を受け
た。何と言う強度。こんなソフトが地球上に存在するのか。例えば彼女のためにソフトクリー
ムを買いに行って、あと3歩位で彼女の元に届けられると言うのに直前で彼氏が蹴躓いて、
彼女がソフトクリームまみれになると言うのは、昔からドラマやコントなんかで見慣れたシー
ンであるが、コレが冷凍ソフトだと、とんでもない惨劇が展開されるに違いない。

　2本のソフトが彼女の頭に突き刺さり、ソコからは血がピューピューとふんだんに。バニラ
味を買ったハズなのに、ストロベリー味と間違えてしまいそうな程に真っ赤に染まるソフトク
リーム。赤く染まった顔と、突き刺さった2本のソフトが角に見え、まるで鬼の様な形相をし
ている彼女を想像すると、彼氏のその後が何とも言えず儚げであるが。

　等とイツモ通り妄想を膨らませていると、続けて女王様から、冷凍アイスとは秋田市の新
屋で買える商品だと言う情報が寄せられた。考えすぎるとロクなコトは起こらないし、そもそ
も考えるコトが先天的に苦手なB食クラバーは、とにかく出掛けてみるコトにした。

　女王様から聞いた話によると、秋田市内でBEST3に入る規模の、日吉神社のそばで冷凍
ソフトは買えると言う。神社なんてトコロは毎年一回、年末年始にしか用が無いB食クラバー
であるが、それでも場所は知ってる辺り、日吉神社のメジャーさも解りやすいと言うモノだろ
う。その近くにあると言うコトは、あの辺に違いない！と頭の中で地図を描き、車をその場へ
と走らせた。

　日吉神社近くに到着。ココからアイス屋へはあっと言う間に付くハズである。女王様による
と、表にすっかり色の薄くなった（工藤アイス）と書かれたモノがあるとのコトだったので、ソ
レを探しながら車を進めてみた。…が、案の定見つからない。万が一があるからと思い、渡
勇菓子舗の辺まで車を進めてみたが、いくら何でもコレは行き過ぎである。考え直して車を
引き返してみた。

　しかし、…見つからない。もう少しするとメイン道路に出そうだったため、慌ててハンドルを
切って細い小路へと入ろうとした。だがその先は進入禁止！焦りまくるB食クラバー。チョッ
ト落ち着いて周囲を見回してみると、幸い他に車はいなかった。ゆっくりと車を元に戻し走り
始めると、視界の角にソフトクリームの形を捉えた。

　ヒョットして！と思い凝視してみると、三角柱のクルクル回る奴の一面に、ソフトクリームの
文字と共に、その絵が描かれていたのだ。ココが店なのか…！？と、今迄に何度も思った
心理的葛藤が甦ってくる。

　今迄に何軒か廃屋然とした商店を見てきたが、ココに比べれば赤子同然である。と言うの
も、他の店は廃屋っぽい外見をしていながらも、通りに面した側は全てガラス張りになって
おり、建物の中を外側から覗くコトが出来るのである。コレは商店を意識したデザインであろ
うと考えられ、B食クラバー的には、廃屋然とした商店にもモハヤ慣れっこになっていた。

　だがコノ店は、コレまでB食クラバーが僅かずつでも築き挙げてきた廃屋商店の定義を、
根底から覆す実力を持っていた。B食クラバーが商店と廃屋の区別をするための基準にして
いる通りに面した店内を覗ける部分が、押入半間程の大きさの扉しかないのだ。中の様子
が見えないのならば、廃屋商店に見慣れたB食クラバーも見逃すハズである。マサにその
ジャンルの最上級。ザ・ベスト・オブ・ベスト。そして店内へと足を踏み入れた。

　女王様が教えてくれた通りの土間。4人掛けのテーブルが4つ程並んでいる様に感じたの
だが、コノ店で何を販売しているのか、初めて訪れた人は戸惑うに違いない。店の中には
誰もいないが、とりあえず声を掛けてみた。女王様の話によれば、バーサンが登場してくる
ハズである。…だが！

　牛島のたいやきや、あるいは渡勇菓子舗にいるぐらいのバーサンを想像していたのだが、
中から出て来たのはソンナ人達と比べたら失礼に当たるんじゃないかと個人的に思われる
カーサン。女王様による、と同じ話を3回も4回も繰り返す人だと言うので、むかぁ〜し、田6ら
正和が2コスのCMをしていた頃、『支払方法は3回、6回、12回…。』って繰り返すバーサン
の様な人物を想像していたのだが、コレは単なる話好きのカーサンと言うコトなのか。

　しかし、一般的にはこのカーサンもバーサンに分類されてしまうのか。B食クラバーが思っ
ていた牛島のたいやき屋や、渡勇菓子舗のバーサンは、バーサンの中でもバーサンで、こ
のカーサンはバーサンの中のカーサンなのかと、無理矢理自分で定義してみた。

　かき氷もやっている店らしいが、機械には布が掛かっている。今年の営業は終了したのだ
ろうか。他に何かお菓子を販売している風情でもないコノ店は、夏期間しか営業していない
のかもしれない。店内を見回してみても、商品を示しているモノは、『ソフトクリーム\200』と
言う貼り紙1つのみ。ココは動揺を抑えて、『冷凍のを持ち帰りで！』と、女王様に教わった
通りに言ってみた。

　このセリフがなかったら、『えぇ〜っとですね、この辺に冷凍しているソフトクリームを売って
る店があるって聞いてきたんですケド、まさかココじゃないですよね？』とか自信なさげに聞
いてみたり、カーサンに対して非常に失礼な発言をするトコロであった。するとカーサンは、
『良かった。冷凍のダケあるのよ。』と微笑んだ。…冷凍していないソフトクリームは売ってい
ないのかと言う疑問浮かんだが、そもそも冷凍ソフトを買いに来たのだし、気にしないコトに
した。

　ココでもう1つ信じられないコトがあるのだが、コノ店では冷凍ソフトを持ち帰る時、新聞紙
に包むというのである。ワリと長い間人生を過ごしているが、新聞紙に包むスイーツと言うか
ファーストフードは焼き芋と甘栗ぐらいしか思いつかない。ソフトを新聞紙で包むなんて、ソフ
トにインクが付きそうだし染み染みになりそうだし、何よりビジュアル的に如何なモノかと思
いながらソノ瞬間を待っていたのだが、カーサンはニコニコ笑って冷凍ソフトを裸のまま差し
出すダケであった。

　えっ？新聞で包んではくれないんですか？と戸惑ったが、長い時間留まるワケにもいかな
いので、お金を渡して店を出た。あとで女王様に確認してみると、1ヶの注文では新聞紙に
は包んでくれないシステムらしい。この辺、自分の情報収集不足にガッカリである。

　新聞紙にくるまれた冷凍ソフトを、あとでジックリ食べようと考えていたB食クラバーである
が、こうなったら今スグ食べないワケにはいくまい。凍ったままのソフトを、恐る恐る口にして
みた。すると、ソフトのマッタリ感がある中でのシャリシャリ感が良い感じ。昔駄菓子屋関係
で売っていて、今でも時々スーパーなどで見掛けるアイスクリンを思い出す味である。次回
食べる時は5ヶ位買ってやろうと心に決めた。

食べた日：04/09/18

　とは言ったモノの、季節はあっちゅー間に秋の気配を、急加速で色濃いモノにして行き、も
う今年はソフトもかき氷もいらないよ！と思い始めていた。こりゃ来年の話だよな！と思い始
めていた頃、りあさんから、新聞紙にくるまれた冷凍ソフトをGETした！って話を聞いた。

　猛然と購買意欲に火が付いたB食クラバー。それまでダラダラと過ごしていた秋の休日は
一転、【何が何でも冷凍ソフトを新聞紙に来るんで貰う日】に、もうテーマ変えます。（3ま御
殿風に。）

　前回B食クラバーが、1ヶだけの購入では新聞紙に来るんで貰えなかったコトを知ったりあ
さんは、それでも控えめに2ヶ購入し、まんまと新聞にくるんで貰うコトに成功した様だ。りあ
さんのHPで新聞紙にくるまれた冷凍ソフトの写真を見たB食クラバーは、いても立ってもいら
れなくなり、気が付いたら愛車のハンドルを握っていた。

　夕暮れ近い秋田市内を疾走。この時間帯では買えない恐れもあったが、そんなチョットの
不安も消し飛ぶ勢いである。工藤アイスに到着。今回は2度目ダケあって迷わずに済んだ。
呼び鈴を押すとカーバーサンが登場。ココまでは計算通りと言うか予定通りなのだが、ソフト
下さい！って言った次の瞬間、バーカーサンは信じられない行動に出た。なんと、前回来た
時は布を被っていて、使われている気配なんて微塵もなかったソフトクリームメーカーに手を
延ばしたのだ！

　慌てて、『あっ、持ち帰りのヤツで！』と、カーサンバーの行動を制したB食クラバーである
が、『持ち帰りのって、冷凍の？』と、更に意外な返答が来て思考停止。こないだはコレで
通じたじゃないですかぁっ！と、左耳に掛かった髪を掻き上げながら、右手の人差し指を付
きだし、出来ればクビを右に20度程傾け、若干鼻を詰まらせながら声を張り上げたい気分だ
ったが、緊急事態は回避しなければならない。急いで『冷凍のを2つ下さい！』と言い直した。

　すると、『冷凍のね。』と言いつつもコチラをチラリと見やりながらサンカーバーは、ソフト2ヶ
を白い袋に入れ、次にそれを新聞紙でくるみ始めた。感無量〜！ようやく訪れた至福の時。
コノ瞬間のために生きてきた！とさえ思えるから不思議である。ヒョットしたらサンカーバー
は、今日は久しぶりにソフトクリームーサーバーを使える様にしたのだから、ソフトクリームを
作ってみたい！とか思っていたのかもしれないが。

　念願の新聞包みを片手に、理美容師Sさんの元へ。この日B食クラバーは休日であるが、
理美容師Sさんは職業柄休みでは無い。そんな理美容師Sさんに手みやげとして持って行
った。お土産の新聞包みに、信じられない！と言う表情をする理美容師Sさん。しかし手に
持った瞬間、冷たい！って解ると、『ヒョットしてアイス！？』と、普段からは想像もできない
勘の良さを発揮。少々ビビるB食クラバー。

　かなり不思議そうに、そして少しだけ嬉しそうに新聞包みを開ける理美容師Sさん。セロハ
ンテープを剥ぐにつけ、新聞紙を剥ぐにつけ、『信じられない！』を連発。最終的に白い紙袋
の中から冷凍ソフトを取り出した理美容師Sさんは、たった今自分が行った行動の結果、ソ
フトクリームが目の前にある現実を受け止め切れていない様子であった。

　しかもアイスだと思っている理美容師Sさんに、コレはソフトクリームを冷凍したモノだと説
明すると、何故ソフトクリームを冷凍するのか、そして何故新聞紙にくるむのかと、B食クラ
バーが感じている疑問をそのままぶつけてきた。しかし、そんなコト言われてもB食クラバー
にだって解らない。難しいコト考えずに食え！って言うと素直に食べる理美容師Sさん。さっ
きまで信じられないを連発していたが、今度はオイシイを連発し始めた。

　理美容師Sさんは、よく工藤アイスの向かいの辺にある店には買い物に行くそうだが、今
日この日まで、冷凍ソフトなるものが存在するとは知らなかったし、何度説明しても、工藤ア
イスのある場所を理解して貰えなかった。今度行ってみよう！とは言っていたが、理美容師
Sさんが無事に辿り着けるかどうか、心配でならない。

　新聞紙にくるまれた冷凍アイスをゲットしたB食クラバーは、遅ればせながらもコノ夏一番
の満足を得、充実していた。コレから寒くなるし、工藤アイスとB食クラバーの次の接点は一
年後だなと漠然と思っていたトコロ、はなさんから次の様なレポートが寄せられた。以下、そ
の全文。

　今日午前中用事があったので会社を半休して、豊岩に行きました。行く途中、栄太郎の
前を通ったので、「あ！帰りはいよいよくりくりソフトだな！」と思ったんです。

　で、用事を済ませ、会社に向かう時何故かくりくりソフトのことが頭からすっかり抜けて、
『山王に行くのなら茨島抜けて行くか･･･』と、大森山方面へ向かってしまったんですよ。
日吉神社の下あたりで急に栄太郎の事を思い出したがあとのまつり。で、その時いきなり
頭に浮かんだのが『工藤アイス』。左に急ハンドルを切り、後に車がいないことを確認して
ゆっくり走行･･･。

　ありました。見つけました。工藤アイス。店に入ったものの何か不安になり、出てきたカー
バーサンに「ここって工藤アイスですか？」と聞いてしまいました。

　『は？はい･･･』少々血色の悪いカーバーサン。
　『あのう･･･冷凍ソフトがあるって聞いて来たんですケド･･･』
　『あら〜ごめんなさい、昨日ちょっと出かけたもんで作れなくて、今日ないの！』

　･･･ということでありつけませんでした(T∇T) でも、『２つ以上買うと新聞紙に包んでくれる
って本当ですか？』などと聞いてみたら『１つでも包むよ！』みたいなことを言ってて、つるつ
るの広告や包装紙ではソフトが溶けつつある時の水分を吸ってくれないとか、延々と５分く
らい話し込んでしまいました（笑）。

　カーバーサンは最近体調が悪いらしく通院してて、なかなか沢山ソフトを作れないとか。で
も、『今日また作るから明日には出来てるよ！』とのこと。『最近インターネットで（この店が）
出てて、評判なんですよ！』と言ってあげたらすごく嬉しそうに『すごく人が来てくれるの！』
と言ってました。

　エート、また機会があれば行きます。ええ、早めに。

価格　　\200