店  名
 三日月軒 (閉店しました。)
食べた日
2006/10/24
住  所
 秋田県秋田市仁井田本町3-12-20
営業時間
11:00〜19:00
電話番号
 0184-73-3319            三日月軒のBilogへ>
定休日
水曜日

ラーメン全景
ラーメンアップ
どんぶり
店内
のれん
三日月軒外観

前  説

 秋田市内で随分昔から営業されており、その人気も凄まじい。休日の昼時なんかに店の前を通りかかると、店の外に迄行列が出来ている。秋田市内で行列が出来る店ってココの他には、めん峯くらいしか思いつかないが、めん峯は作り方が丁寧なせいもあって、出来上がり迄に少々時間が掛かるコトも行列の一因の様な気がするので、そう思うと秋田市の行列度NO.1は、三日月軒と言う印象がある。

 仁井田、四ツ小屋辺りの人と話をしてみると、昔はもっと醤油が濃くてショッパかったとか、今は味が薄くなったとか、あんなに混んでいなかったとか言う話を良く聞く。今食べてても充分濃いよなぁ〜と感じるB食クラバーは、図らずも三日月軒歴の浅さを露呈するコトになる。

 何十年もきっと営業をし続けているんだろうケド、B食クラバーがソノ存在を知ったのは10年位前だろうか。ヤハリ、車で活動するようになってから、と言うのは致し方あるまい。例えば高校時代に、誰かから三日月軒の話を聞いていたのかもしれないが、活動範囲の外にある店じゃなーと聞き流し、記憶に留めていなかった可能性がカナリ高い。今思うと勿体ない話だ。

 そう言うコトが何度もあるので現在は、如何に遠くにある店でも、評判を聞くと必ず、脳内メモに記録する様にしている。ま、脳内メモなので肝心な時には思い出されず、役に立たないコトの方が多いが。

 最近はアマリ足が向かっていなかったが、一番良く行っていたのは7〜8年位前だろうか。当時同じ職場にいたラーメン女王と、一週間と置かずに出掛けていた。平日の夜に出掛けるのが殆どだったので、休日の混雑とは無縁。店主夫婦が2人で営業している様なので、休日の混雑具合を想像すると、大変で仕方ないだろうなぁと想像したりもする。

 ある日、イツモの様に夫婦2人で営んでいるのであろう店に入ると、学生風のヤングが注文を取りに来て驚いたコトがある。思い返すと学生の長期休み期間だったと思うが、そう言う時にはアルバイトを雇っていたのだろう。そう思うと、土日祝等の忙しい時も、アルバイトを雇っていたのかなーとも思う。いかにB食クラバーが、休日の三日月軒と縁遠いかと言う話だが。


Comment

 今年の6月、クラバーRさんと久しぶりに三日月軒に行った。ソノ時に店主を見ると、髪の毛が全て白髪だったのを見てビックリした。B食クラバーが良く来ていた頃、ソレはツマリ6〜7年程前だが、確か店主の髪は黒かったハズだ。いや、白髪もあったのかもしれないが、それ程目立っていなかった。

 店主の髪の色を見て、自分の足が遠のいてから、随分と長い時間が経ったんだなぁ〜と実感し、何て言うか年を取っても頑張ってるなぁ〜と思っていたトコロだった。味の方は良く来ていたあの頃と変わらず。そしてカーサンのルックスも、あの頃と変わりはない様だが。

 そんな風に時の流れを実感して過ごしていると、三日月軒が閉店するとの噂が耳に入った。基本、老夫婦が2人で営業しているスタイルなので、寄る年波には勝てないと言うのがソノ理由らしい。何年振りかで思い出した様に行ってみた店だが、もう食べられなくなると耳にした途端、出掛けてみたくて仕方ない。

 三日月軒が閉店するねー。残念だねー。と言う話をクラバーMさんに言ってみると、なんとクラバーMさんは食べたコトが無いと言う。クラバーMさんについては、秋田の美味いモノは全て食べ尽くしている!と言う印象を勝手に抱いているB食クラバーにとっては、何とも意外な話だが、閉店するのならば食べてみたいとクラバーMさんが言うので、クラバーMさんの、最初で最後の三日月軒体験に付き合うコトにした。

 6月に来た時はボロボロだった暖簾もブラッシュアップされ、『三日月軒』・『中華そば』・『専門』と言う文字がハッキリと読みとれる。新品なのかとさえ思える真新しさの暖簾。最後の時を迎えるに当たり、暖簾にも今一度、お色直しをかけたのだろう。

 B食クラバーが三日月軒に来ると言えばモチロン平日の夕方で、今日もヤハリそうだった。その時間帯であれば他にお客さんって言うのは、他に1組か2組いる位だったのだが、今日はカウンターに2人、そして他にテーブル2つが家族連れなんかで埋まったりしている。普段よりお客さんが多いコノ感じは皆、三日月軒にお別れを言いに来ているからなのだろう。

 イツモと変わらぬ、煮干しの効いた魚系スープの香りが鼻をくすぐる。若干柔らかめの麺と、味の染みたメンマ。そして今時少数派な、豚のもも肉を利用した、脂身が無くて歯ごたえのある、少々堅めのチャーシュー。初めて食べるクラバーMさんは、美味しい美味しいと繰り返しながら、ドンドン食べていく。一口麺を食べる度、一口スープを飲む度、あぁコレでもうお別れなんだなと思いながら食べていくB食クラバーとはホンの少しダケ温度差があるが、ソレにはクラバーMさんも気付くハズが無い。

 三日月軒は山形県の酒田市にルーツがあり、秋田の店は酒田市内に何軒もある三日月軒の内、北新町の暖簾分けだそうだ。酒田市内にある三日月軒は全て、いわゆる三日月軒本店からの暖簾分けで出来た店だと言うコトだが、何故か本店は、後継者がいないと言う理由で閉店した様だ。その本店の味を、一番色濃く反映しているのが秋田の三日月軒だと聞いたコトがある。そんなコトを考えると、ホントに貴重な店だったんだなぁ〜と、感慨も更に深い。

 食べ進めていくと、丼の途中に『三日月軒』の文字が見えてくる。この文字のかすれ具合が、三日月軒と言う店の歴史を無言の内に物語っている様だ。丼、店主の白髪、そして変わらぬ中華の味の、全てに歴史を感じる。三日月軒の、店としての歴史は幕を下ろしたコトになるが、三日月軒と言う店があったと言う記憶は、我々と共にいつまでも生き続けるのだ。