ビール作成工程の見学が終わり、いよいよ待ちに待ったパッケージング現場の見学であ
る。工場見学の醍醐味は、ココにあると言っても過言ではない。マズは瓶の製造ラインから
の見学だ。ガラス越しに、広い部屋に大きい機械が設置されているのが見えてくる。いよ
いよソノ時だ!と、興奮を隠しきれない。しかし次の瞬間、ワタクシは自分の目を疑った。
機械が動いていない!…驚きのアマリ固まっている(のを気づいているのかどうかわから
ないが)ワタクシに向かってツアーガイドさんは、『あいにく本日は機械の点検で…』とか何
とか、ラインが動いていない理由を語りだした。その先の言葉等モチロン、耳に入ってなど
来ない。
実は1度、コノ日の前に予約をしたコトがあったのだがソノ時は、ラインが動いていないと
言うコトをあらかじめ教えてくれていたので、キャンセルしたコトがあった。で、今回の予約
の時には何も言って来なかったので、当然ラインは、ワタクシ達の希望をバンバン載せて
動きまくっているモノと確信していた。のに。
フト気が付き、りあさんの方を見る。しかしりあさんは、ワタクシが視線を向けると、違う方
向に顔を向けてしまう。表情は読みとれないが、心情は手に取る様に解る。以心伝心とは
このコトか。双子のマナカナも普段、こう言う気持ちを共有し合っているのだろうとか、現実
逃避しまくりたくなる。
いやだって、ちゃんと確認しなかったのは悪かったケド、動いてない時は動いていないっ
て言ってくれてたんだから、疑わないのはしょうがないじゃん!とか、心の中で必至に弁
明。しかしコノ場合は、絶対にコチラの気持ちが向こうに伝わっているコトってないだろう。
恐るべき、一方通行の以心伝心。双子のマナカナが羨ましい。
気まずい雰囲気を醸し出しながら、それを察知したのかどうか解らないが、ツアーガイド
さんが、廊下に設置されているTVモニターで、ラインが動いている時の様子をビデオで見
せてくれた。ビデオの映像と、まるっきり静止した状態の製造ラインを交互に見、脳内で仮
想動的製造ラインの映像を作成。コレをりあさんに見せてあげれば機嫌も直るだろうか?
とか思ってみても、所詮は一方通行の以心伝心。双子のマナカナが羨ましい。
急に無口になった2人を前にどうしたらいいのか解らなくなった(かもしれない)ツアーガ
イドさんは、瓶ラインルームの説明を諦め、缶ラインルームへと移動を開始した。すると!
なんと、缶の製造ラインは動いていたのだ!九死に一生を得たとはこのコトか。さっきま
での重く沈んだ雰囲気はどこへやら、ガイドさんの説明への相槌も、一気に軽やかにな
った。
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